2020/09/07

 出勤時、まだシャッターの降りている本屋の前で、ひと組の男女が話しているのを見た。女は若く、豊満な体をしていて、自転車にまたがっている。ホットパンツからはみ出た太ももにジャンボフランクフルトみたいな存在感がある。男はくすんだミント色の開襟シャツを着ていて、たぶん大学生、あまり背は高くないがちょっとだけ高橋一生に似ている。女が「触っていいですよ」と言いながら男の手を取って自分の太ももに押し付けている、その横を通り過ぎた。男は何とも言えない顔のまま硬直している。「いいですよ。ほら。彼女とかいるんですか?」
 なんかすごいものを見てしまったな、と思いながらちょっと振り向こうとすると、同じ速度で歩いていた私のとなりの知らない人も、ちょっと振り向こうとしているところだった。


 愛の不時着の中に、主人公の女が眠ろうとして、うまく寝付けず、ベッドサイドの抽斗から睡眠導入剤を取り出していくつか飲むシーンがあり、そんなに重要な場面でもないんだけど結構記憶に残っている。”健康体でも眠れなかったら薬を飲んでいい”という発想がなかったので。

 今年、残りあと四ヶ月なんだな。信じられない。